
結婚式ムービーに好きなアーティストの曲を使いたいのですが、音楽著作権についての手続きがよく分からないので教えてください!

まず、市販楽曲の使用について「手続きが必要」だということが分かっているだけでも正しいスタートラインに立てていますね!
結婚式ムービーの印象を大きく左右するのが、映像とともに流れる音楽、BGMです。
結婚式ムービーのなかには、曲調に合わせて映像を編集した音楽メインのムービーも多くみられ、とても人気があります。
ですが、好きなアーティストの曲をBGMとして使いたい場合は音楽著作権についての手続きが必要です。
手続きを行わずに無断で市販楽曲を使用すると、著作権侵害の罪に問われてしまう可能性があります。
この記事では、結婚式ムービーに市販楽曲を使用する場合に知っておくべき音楽著作権についての基礎知識、そして市販楽曲を安心して使用するための正しい申請方法についてお伝えします!
この記事で分かること
- 結婚式ムービー制作に関わる音楽著作権について
- 結婚式ムービーに市販楽曲を使用するときの申請方法
- 新郎新婦さまが行わなければならないこと
結婚式ムービーのBGM、こんな使い方はNG!

結婚式ムービーを自作しようとしたとき、好きなアーティストの曲や思い出の曲など、市販楽曲をBGMに使いたいと考える新郎新婦さまは少なくないでしょう。
そんなとき、レンタルショップでCDを借りたり、サブスクサービスでダウンロードして利用しようと思っている新郎新婦さまも多いかもしれませんが、このような利用方法は違法行為になってしまうので注意が必要です。
結婚式ムービーのBGMに市販楽曲を自由に使えない理由

では、市販楽曲を結婚式ムービーのBGMとして無断使用すると、どうして違法行為になってしまうのでしょうか?
これには、市販楽曲の利用が「私的利用」か「商用利用」か、ということが大きく関わってきます。
個人で音楽を楽しむような「私的利用」であれば無断使用でも違法行為になりませんが、「商用利用」だと無断使用=違法行為とみなされてしまうのです。

結婚式は家族や友人が集まって行う私的なイベントですよね?
結婚式ムービーにアーティストの曲を使っても「私的利用」の範囲内なのでは?

そんなふうに思ってしまいがちですが、多くのゲストが集まる結婚式では「私的利用」の範囲を超えて「商用利用」に当たると解釈されているんです。
現在の著作権法の一般解釈として、以下のような場合での市販楽曲の利用は「商用利用」とみなされます。
- 特定多数の人(結婚式の場合「家族や友人などのゲスト」)を招いて使用する場合
- 金銭(結婚式の場合「ご祝儀」)を受け取る形で使用する場合
結婚式というイベントが営利目的でないことはもちろん言うまでもありませんが、それでも上記の場合に当てはまることは否定できません。
市販楽曲を結婚式ムービーのBGMに使うと「商用利用」とみなされるため、利用申請手続きなしで使用すれば違法行為になってしまうというわけです。
結婚式ムービーに市販楽曲を無断使用するとどうなる?

もし、市販楽曲を利用申請手続きなしで結婚式ムービーのBGMに使ってしまうと、以下のようなリスクの可能性があります。
著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。
出典:公益社団法人著作権情報センター
最近では、自作した結婚式ムービーを式場に持ち込み、式場から上映拒否をされるというケースがよく見られるようになってきました。
その理由は100%、市販楽曲の無断使用による著作権侵害を防ぐためです。
後ほど詳しく解説しますが、「ISUM(アイサム)」という音楽著作権管理団体が発足して、式場や映像制作会社などのブライダル事業者に音楽著作権について啓蒙活動を行っていることから、以前よりも著作物の権利を守るという姿勢が強くなってきていると言えます。

結婚式という晴れの舞台が違法行為で台無しに…という展開は当然避けたいですよね。
そもそも「音楽著作権」とはどんな権利?

ここまで当たり前のように登場している「音楽著作権」という権利ですが、そもそも音楽著作権とは一体どんな権利なのでしょうか?
音楽著作権は大きく分けて2つ
音楽著作権は大きく分けて「著作権」と「著作隣接権」の2つになります。
「著作権」とは
「音楽著作権」と聞いて一番イメージしやすいのは、作詞家と作曲家に与えられる「著作権」ではないでしょうか。
楽曲そのものを作った作詞家・作曲家は、当然その楽曲自体に権利を持っています。
具体的にどのような権利かと言うと、「第三者が楽曲を使用することを制限する権利」です。
ちなみに、第三者が個人で楽曲を聞いたり楽しんだりする行為までは制限できません。
「著作隣接権」とは
「音楽著作権」には、「著作権」のほかに「著作隣接権」という権利があります。
作詞家・作曲家が歌詞やメロディーを作った楽曲は、歌ったり演奏したりするアーティストやCDを作るレコード会社などによって世の中に広まっていきます。
そのため、楽曲の制作に関わったアーティストやレコード会社にも「著作隣接権」という権利が与えられるのです。
「著作隣接権」の権利者であるアーティストやレコード会社は、録音された「音源」に対しての権利を持っています。
一般的にアーティストの権利については、アーティストから権利譲渡されたレコード会社が管理していることが多いため、「著作隣接権」はレコード会社が持っているのが実情です。
楽曲の利用方法ごとに「支分権」が発生
さらに楽曲の利用方法ごとに、「著作権」「著作隣接権」を細分化した権利が「支分権」と呼ばれる権利です。
いくつかある「支分権」の中で結婚式に関係してくるのが「演奏権」と「複製権」になります。
「演奏権」とは
「演奏権」については、ほとんどの式場が音楽著作権管理団体であるJASRACやNexToneと楽曲利用に関する契約を結んでいる(挙式料金に含まれている)ため、新郎新婦さまが個別に利用申請手続きを行わなければならないということはありません。
「複製権」とは
ですが、「複製権」については式場が権利者と楽曲利用に関する契約を結んでいないことがほとんどなので、別途対応が必要です。
結婚式ムービー制作で押さえておくべき音楽著作権

ここまで音楽著作権についていろいろな権利を見てきましたが、結婚式ムービーを制作するときに押さえておかなければならない音楽著作権は「複製権」です。
結婚式というシーンにおいて「複製権」の利用申請手続きが必要になるのは以下の3つのケースになります。
「複製権」の利用申請手続きが必要な3つのケース
- 結婚式で流すために市販楽曲をCD-Rなどにコピーする場合
- 結婚式ムービーのBGMとして市販楽曲を使用する場合
- 結婚式当日の映像に市販楽曲を使用した結婚式ムービーが映り込む場合
以上の3つのケースの中で、結婚式ムービーの制作に直接関わってくるのが「結婚式ムービーのBGMとして市販楽曲を使用する場合」です。
購入したCDや配信音源から楽曲データをコピー(複製)して結婚式ムービーのBGMに使用する場合、複製権の利用申請手続きが必要になります。
「複製権」は利用の都度、申請手続きが必要
結婚式ムービーのBGMとして市販楽曲を使用する場合に利用申請手続きが必要な「複製権」は、「演奏権」のように式場が契約している包括契約に含まれていないため、利用の都度、申請手続きが必要です。
このときの権利者は、以下の図のようにJASRACと日本レコード協会の両方になります。

「複製権」の利用申請手続きは、JASRACと日本レコード協会の両方に対して行わなければならず、両方の許諾をもらって初めて使用することができるようになるのです。
音楽著作権「複製権」の利用申請手続きはどうする?


結婚式ムービーに好きなアーティストの曲を使いたい場合、「複製権」の利用申請手続きが必要だということが分かりました。
でも、JASRACと日本レコード協会の両方に許諾をもらわなければいけない…というのはハードルが高いです。
ここまで結婚式ムービーの制作に関連する音楽著作権「複製権」について確認してきましたが、「これらの利用申請手続きを全部自分たちでやらなければいけないの…?」と気が遠くなってしまった新郎新婦さまもいるかもしれませんね。
確かに、一個人がJASRACやNexTone、日本レコード協会の両方に利用申請手続きを行うのは大変ですし、現実的な方法ではありません。
そこで、これらの利用申請手続きを一括で代行してくれる団体が「ISUM(アイサム)」です。
ISUM(アイサム)とは
「ISUM(アイサム)」は2013年に設立された団体で、正式名称を「一般社団法人音楽特定利用促進機構」といいます。
ISUMは、JASRACと日本レコード協会の両方に対して「複製権」の利用申請手続きを一括で代行してくれます。
著作権・著作隣接権の権利者それぞれへの利用申請の代行から、それに合わせた使用料の支払いの代行などを行います。ISUMが著作権管理団体(一般社団法人日本音楽著作権協会=JASRAC、株式会社NexTone=NexTone)と日本レコード協会への利用申請の代行、及び著作権・著作隣接権使用料のお支払いの代行をすることで、面倒な手続きを個別に行うことなく、適法に音楽をご利用いただけます。
出典:ISUM(一般社団法人音楽特定利用促進機構)「ISUMについて」
ISUMへの申請方法

じゃあ、結婚式ムービーに市販楽曲を使用したい場合は、ISUMという団体に申請を行えばいいわけですね!

そうなんですが、ISUMへの申請は新郎新婦さま個人で行うことができないんです。
ISUMへ申請を行えば「複製権」の利用申請手続きを代行してくれるのですが、ISUMへ申請を行えるのは正式なISUM登録事業者(正規登録された結婚式場や映像制作会社など)に限られるため、個人が直接ISUMへ申請することはできません。
ISUMはブライダル事業者様のお手続き(利用申請)を代行する団体のため、個人のお客様からは直接お受けできません。個人のお客様は、ご利用になられる式場・ホテル等を通してISUMでお手続きをお願いします。
出典:ISUM(一般社団法人音楽特定利用促進機構)「よくある質問」
つまり、「複製権」の利用申請手続きを一括で行うにはISUMへ申請する必要があり、そのISUMへの申請は正式なISUM登録事業者を通して行う(ISUM申請代行)必要があるということですね。

ここで正式なISUM登録事業者についてですが、必ずしも結婚式場や映像制作会社のすべてが正式なISUM登録事業者というわけではありません。
以下、ISUMの登録事業者一覧に掲載されている正規登録事業者のみ、ISUM申請代行を行うことができます。

【結婚式ムービーcouleur】は正式なISUM登録事業者ですので、市販楽曲への変更に必要なISUM申請代行が可能です!
ISUM申請代行の際に新郎新婦さまが行うこと
「複製権」の利用申請手続きのためにISUM登録事業者にISUM申請代行を依頼する際、新郎新婦さまが行わなければならないことは以下の4つです。
①使いたい楽曲がISUMに登録されているかどうか確認する
ISUM申請代行は、ISUMに登録されている楽曲データベースをもとに行われます。
つまり、ISUMの楽曲データベースにある市販楽曲しかISUM申請代行ができないということです。
結婚式ムービーのBGMとして使いたい市販楽曲がある場合、まずはその楽曲がISUMに登録されているかどうか確認する必要があります。
ISUMの楽曲データベースに登録のある楽曲であれば、ISUM申請を行うことで結婚式ムービーのBGMに使用することができます。
②使いたい楽曲のCDや配信音源を購入する
ISUM申請には、市販楽曲を使用したい新郎新婦さまがCDや配信音源を購入していることが前提です。
購入済みだという証拠として、CD盤面に記載の規格品番または配信音源の規格品番が必要になります。
新郎新婦さまは、使いたい楽曲のCDや配信音源をご用意ください。

ISUMでは、CDや配信音源の入手先として「タワーレコード」と「レコチョク」をおすすめしています。
CDを購入する
配信音源を購入する
③ISUM登録事業者にISUM申請代行を依頼する
ISUMへの申請は個人では行うことができないため、ISUM登録事業者にISUM申請代行を依頼します。
映像制作会社などの業者に結婚式ムービーの制作を依頼する場合、ISUM申請代行が可能かどうか確認しましょう。
結婚式ムービーを自作する場合は、ISUM申請代行のみを行ってくれるISUM登録事業者を探して依頼します。

【結婚式ムービーcouleur】では、結婚式ムービーを自作したい新郎新婦さまに向けてISUM申請代行のみのサービスも提供しています!
④ISUM申請代行料金を支払う
ISUM申請代行には、当然ですが申請代行料金の支払いが必要です。
料金はISUM登録事業者によってさまざまですが、1曲あたり5,000~10,000円程度が目安となります。

ちなみに【結婚式ムービーcouleur】が設定しているISUM申請代行料金は、1曲あたり5,000円とISUM登録事業者の中でもリーズナブルな価格帯となっています!
楽曲変更にかかる変更手数料も発生しないため、格安でISUM申請代行を行うことが可能です。
ISUM申請代行についてよくある質問
- QISUMのデータベースにない楽曲を使用したい場合はどうしたらいいですか?
- A
ISUMに「楽曲リクエスト」を送る方法があります。
「楽曲リクエスト」を送ることで、ISUMから日本レコード協会を通して利用申請代行が可能かどうか確認をとってもらえますが、必ず使用可能の許可が下りるわけではありません。
結果的に使用可能の許可が下りたとしても、ISUMの登録曲となるまでには早くても1か月前後かかります。
「楽曲リクエスト」の結果についても個別の返答はもらえないため、登録されたらラッキー程度に考えておきましょう。
- QCDは中古で購入したものやレンタルしたものでも使用できますか?
- A
中古で購入したCDでも、正規に購入したものであれば問題ありません。
ですが、レンタルしたCDは新郎新婦さまのものではないため、音源として使用することはNGです。(レンタルCDにはISUM申請の際に必須となる規格品番がありません)
- Q配信音源は使用できますか?
- A
ISUMの楽曲データベースに【配信音源】として登録されている曲で、正規ダウンロード配信サービスで購入した配信音源であれば問題ありません。
ただし、月額制サブスクリプションサービスで提供されている音源を使用することはNGです。
- Q楽曲を一部カットしたり引き延ばしたりすることはできますか?
- A
楽曲の内容を変更することは著作権侵害とみなされる可能性があるので対応できません。
サビから再生をスタートさせたり、最後をフェードアウトさせたりなどの編集のみ対応可能です。
結婚式ムービー制作で実際にあった音楽著作権トラブル

以前、お客様から「ISUM申請は式場を通して行っているので、結婚式ムービーのBGMをISUM申請代行なしで『○○』という市販楽曲に替えてください」という依頼を受けたことがありました。
ですが、実は『○○』という市販楽曲はISUMの楽曲データベースに登録されていなかったのです。
「ISUM申請は式場を通して行っている」ということだったので、当然、ISUMの楽曲データベースに登録されている楽曲でなければつじつまが合わないわけですが…。
どうやら、ISUM申請代行なしで市販楽曲を無断使用しようとしていたらしく、その楽曲がISUMに登録されていないことを伝えたところ、それっきり音信不通になってしまいました。
これは、『○○』という市販楽曲がISUMに登録されていなかったことから判明したケースですが、もし登録されている楽曲だったら無断使用に気づかず、お客様の依頼どおりにBGMを市販楽曲に変更していたでしょう。
正式なISUM登録事業者であるにもかかわらず、もう少しで著作権法違反を犯してしまうところでした。
ISUMの正規登録事業者になってすぐにこの一件があったので、これからはISUM申請代行も必ずこちらで行うことを徹底しようと思っています。
そもそも、式場よりも当方のほうが格安で申請できるので、式場を通してISUM申請代行を行うことにこだわる必要はないわけです。
ISUM申請代行料金を節約しようとごまかして著作権法違反のリスクを背負うくらいなら、市販楽曲の使用をあきらめて著作権フリー楽曲を選択するほうが断然おすすめです。

【結婚式ムービーcouleur】では、著作権フリー楽曲も多数ご用意しております!
結婚式ムービーに市販楽曲を安心して使用するためにISUM申請代行を活用しよう!

ここまで、結婚式ムービーの制作シーンで悩みの種になりがちな音楽著作権について解説してきました。
結婚式にかかわる音楽著作権はとても複雑なので、一度目を通しただけでは分かりにくいところもあったかもしれませんね。
ですが、この記事の要点はとてもシンプルなもので、「結婚式ムービーに好きなアーティストの曲を使いたい場合は、ISUM申請代行を活用しましょう!」ということなんです。
「自作の結婚式ムービーに市販楽曲を使いたいけれど著作権侵害が心配…」という新郎新婦さま。
【結婚式ムービーcouleur】ではISUM申請代行のみでも対応可能ですので、お気軽にご相談くださいね!
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